世情二十一世紀

ろくでもない惑星の極東は、ろくでもない熱暑の季節を向かえた。
ろくでもない人殺しが起き、ろくでもないマスコミが映像を垂れ流す。
ろくでもない政治家は、ろくでもない選挙に備えて声を張り上げ。
ろくでもないガキどもは、ろくでもないメールを捨てるのに忙しく。
ろくでもない大人たちは、ろくでもない生業に愚痴をこぼし。
ろくでもない老いぼれは、ろくでもない介護施設で命にしがみつく。
狼には生まれなかった、かといって豚でもない。
はるか昔は星を夢見た、でもいまは空を見上げることもない。
そばに誰かいたような気がした、けれどもそれは勘違いらしい。
あそこに咲いている花は、本当に美しいのだろうか。
お前は社会のネジなんかじゃない。
ネジが無くなれば機械は止まるが、お前がいなくても世界は止まらない。
野田昌宏を失った六月、もう誰も星へゆく夢を語ってはくれない。
猫のゆりかごで浅い眠りを、汗まみれの夜を重ねる。