お風呂恋しき夜寒かな

日が落ちたら急に風が強くなった。コートを着てこなかった悔やみながら、吹きさらしのホームで鼻水をたらしていると、無性にお風呂が恋しくなってくる。あと一月あまりで、年も暮れようというのに、今年はまだ一度もお風呂にいっていないとなればなおさらのことだ。しかし、春から残業代が全く出なくなったためもともと寂しかった懐は今や廃墟と化し、お風呂屋さんはインドよりも遠い場所になってしまった。金が落ちていないかと、本気で地面を見ながら歩く晩秋の夜。