粋な消し、無粋な消し。

水着彼女 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

水着彼女 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

現物を見てきたが危惧していたとおり“消し”*1にやる気が無くがっかりした。作品自体は良かっただけによけいに失望感が増す。
このblogは大人向けなのでそもそも論をやる気は無い。性器は見せないというルールの中で、どれだけ限界に近づけるかを競うのが粋というものだ。
妻漫 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)ハニーダーリン (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)などもそうだったが、ワニマガジン社の成年向けコミックはなぜあんなに無粋な消しを入れるのか理解に苦しむ。実際、売り上げにも直結する部分であるし、なによりも編集者の腕のみせどころをどうしてああダサく処理してしまうのだろう?
コアマガジン茜新社の出版物は、ときに編集者の手が後ろに回るんじゃないのかと思うくらい、しっかりとした仕事をしている。これはエロ漫画家に対する誠意の表れといっても過言ではない。印刷できない部分まで丁寧に作画されたものをどれだけ読者へ見せるかへのチャレンジは、所轄から呼び出しがかかるかもしれないリスクを考えると、愛がなければできないことだからだ*2
墨ベタでオマンコの上にべったりと線を引くだけなら、素人でも出来る作業だ。そこをいかに線を細く短くするか、あるいはカラーページならば背景と併せる、モザイク処理をかけるなどの専門的な技術こそが、プロの仕事だといえるだろう。
あえて、成年向けと銘打った本に対しては読者も期待するし、作者もそれなりのこだわりをみせる。それを編集段階の無粋な処理で台無しにするワニマガジン社は、もっと同業他社の努力を見習うべきだ。

*1:ここでいう消しとは、性器を隠すための黒線・モザイクなどのことをいう。

*2:この誠意や愛のことを編集者のプロ意識といってもいい