倒産が完了するまで

手形の不渡り、資金ショート、債務の不履行など様々な理由から、会社が経営をギブアップするか、債権者による債権の強制取り立てを喰らうことによって倒産という状態への移行が始まる。
大抵は閉まったシャッターに張られた、経営が立ちゆかなくなり裁判所へ申し立てをおこなった旨と、これから会社の葬儀を担当する弁護士の名前と電話番号が書かれた張り紙によって世間に会社が潰れたことを知らせるのだが、債権者にとってはここからが終わりの始まりとなる。
まず、ギブアップの時点でいったいどれ位のの負債があるのかを確定する作業が裁判所の命令の下に開始される。従業員への未払い給与、不渡りになった手形や売買掛金の総額などの借金から、建物や在庫などの資産を引いた額が、債務総額となる。ご想像のとおり確定させるためには膨大な事務手続きが必要だ。またその際には、労働者債務、土地建物などへの抵当権の設定順位などをから、債権の支払いの優先順位も勘案しなければならない。
大抵は、倒産から一月後くらいに債権者集会が開かれて、そこで誰がどれだけの金銭的な損害を負ったかを決定し、さらに残された資産をそれぞれの債権の優先順位や額によってどのように分配するかについての案が示されて、それについて協議をすることとなる。
当然、債権者はそれぞれに色々な思惑や事情をもっているので、すんなりと協議はまとまることはほとんど無い。しかし協議がまとまらなければその些細な金すら誰の手元にも分けられないので、渋々、泣く泣く、不承不承、協議は決着する。
協議が決定してから、残されたものを現金化したりする手続きに数ヶ月が必要であり、幾ばくかの金が戻ってくるのは倒産から一年後くらいとなる。その時点で正式に倒産という状態は終結し、会社の死が確定する。