感想「イヴの時間」

イヴの時間
日記のネタをネットで探していて偶然見つけた。
画面の構成が非常に工夫されている、というのが第一印象。ネットサーフィンを模した部分と、手持ちのカメラで撮った様な部分が重なることで飽きさせない。また、登場人物の過去などをカットバックで入れるのは、もう日本アニメの文法の一つになったようだ。
吉浦康裕という人は知らなかったが、自主制作でアニメを作っていた人らしい。プロフィールが新海誠と良く似ていると感じた。
声優がなにげに豪勢で主役が福山潤、友人役が野島健児、脇役に沢城みゆきとか杉田智和清川元夢がいたりして驚いた。これでこの後の回で田中敦子ニーチェを引用したり、大塚明夫がぶつぶつと独り言を始めたら、いったい何のアニメを観ているのかわからなくなりそうだ。
ネットでの配信のみというのは珍しいことではないが、Yahoo動画でやっているにもかかわらず今日まで気がつかなかった。もっともブックマークなどをみていると、もうそろそろ話題になり出しており、アニメの出来が良いので下手な宣伝を打って銭を余分に使う必要は無かった、ということになりそうだ。ネットでの宣伝方法というものの面白いサンプルになると書いていて気がついた。
二ヶ月で15分の作品を作るらしいが、金の話でいうとこういう形式でアニメを作るというのは理にかなっている。主な舞台である喫茶店の背景や小物などは3Dポリゴンで作られて居るようなので、使い回しが出来る。制作者の数が少なくとも脚本さえしっかりとつくっておけば作業がルーティン化出来るので余裕を持った制作ができるだろう。
15分のアニメを6話つくるので総時間は90分。これに投入できる金額を500万円と仮定する。テレビなどの媒体を通すと広告屋にこの半分くらいを持って行かれるが、ネット配信だとそれが無くほぼ全額を制作に使える。広告を打たないというのも戦略の一つだ。
イヴの時間」が成功したらわざわざ高い金を出してテレビ枠を買って、水物である将来のDVDの売り上げに運命をゆだねる、というビジネスモデルから抜け出せるだろう。
これから三年後のアニメの世界は劇的に変わると予想する。
以上、つらつらと「感想」を書いた。