ものは言いよう

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090212/324601/
では“本当のこと”をいって、なおかつ自分の首が飛ばない様にするためにはどうすればいいか?

太閤が
一石米を
買いかねて
今日も五斗買い
明日も五斗買い

豊臣秀吉による朝鮮出兵が頓挫したころの落首で、一説には太閤のお伽衆、曽呂利新左衛門の作ともいわれている。
お伽衆とは戦国時代の殿様に仕える、いまでいうところの参謀兼政策秘書という役どころで、曽呂利の同輩には桃山文化のチーフブレインを勤めた千利休がいる。
側近とはいえ阿諛追従だけでは喰っていけないのがつらいところで、恐い権力者からも出来れば一目おかれつつ、なおかつ自分の首が肩から地べたに転げ落ちないようにするためにはどうすればいいか?
言えば角が立つことを、なんとかまるくいいくるめて、上様を笑わすには…?
芸を磨くしかないのだった。
ひるがえって世の中を資本無しで渡っていくためには話芸・文芸・腹芸・曲芸などなど、芸が必要なのはいまでも同じことである。
そういう意味で山本夏彦は多芸に秀でた希有な人であった。