“成年向け(背綴)”プラス“コンビニ(中綴)”

エロマンガ雑誌の出版形式がそろそろ固定化されてきた感じがする。マンガ専門店などで販売する成年向けマークのついた平綴じ雑誌とコンビニ向けの中綴じ雑誌を、共に月一冊以上発行するというのがスタンダードな形になりそうだ。
売り上げの主力はコンビニ向けの中綴じ雑誌で、平綴じがそこに送り出す作家を育成する場所、野球で例えると中綴じ=一軍、平綴じ=二軍といったところか。もっともこれは簡略化しすぎた図式で、コンビニ売りが専門書店売りの広告塔という見方も成り立つ。
これは作家による得手不得手の問題で、たとえば月野定規は成年向けの濃い描写の方が得意だが、コンビニ向けの口当たりの良い作品も描ける。ゆえに月野定規がコンビニ売り雑誌に登場した場合は、平綴じや成年向けマーク付きの単行本への誘導とみてよいだろう。
成年向け雑誌を発行しているコアマガジン茜新社がコンビニ売り雑誌を複数出してきているので、ティーアイネットがそれに続くのは時間の問題だ。
そこで苦しくなってくるのがコンビニと成年向け、どちらか片方しか持っていない出版社だ。特に双葉社竹書房などは、コアマガジンティーアイネットから作家の供給を受けてきた面があり、それが激減するとなると作家のラインナップに偏りがでて厳しくなるのは必至だ。
しかし、一挙に20数名の作家を確保して、成年向けの平綴じ雑誌を創刊するのは難しいので、いきおいコンビニ売り雑誌を出していない、あるいは体力的に出せないどこかの出版社と組む必要が出てくる。
今年は後半にかけて、エロマンガ雑誌界はもう一波乱ありそうな気配である。