仁義なき戦い

録画しておいた「県警対組織暴力」を観たが、予想に違わず“今回も”おもしろかった。いちおう断っておくが瀬戸の花嫁の第17話のことである。
深作欣二監督による一連のヤクザ映画をズッコケ人間コメディーと評した人がいるが、まさにいわれてみればその通りであり、なかなかに上手いことをいうとおもったものだ。晩年のバトル・ロワイヤル*1もギャグコメディーとして秀逸な作品だったが、やはり仁義なき戦いなどのヤクザ映画の方がより笑える。
人が殺し合うのを観て笑うのは不謹慎である。というのは立派な見識であり異を唱える気は毛頭無いが、笑いという生理現象が発生するのもまた事実だ。おもい返せば、これまで読んだ小説の中で笑い死に寸前までいったのが唐獅子株式会社 (新潮文庫)だった。
やっている本人達はまさに殺(と)るか殺(と)られるかの真剣勝負なのだろうが、冷静な第三者からみると、営業活動*2や出世争い*3のためになんで命をかけなければならないのか? という不思議な気分になってくる。
もっともこのサイトに来ている若人諸君は決して冷静になっちゃいけないよ。これから日本社会の一員となって働くにあたって、こんな腰抜けなことを考え出したら、たちまち村八分になって仕事を失うはめになる。現在、失業者として日々求職活動をしている中年男がいうのだからまず間違いない。新卒でも厳しい就活を歳喰ってからやるのはかなり悲惨なことだ*4
また脱線してしまったが、ヤクザ社会というのは村社会であり、極端化された日本社会そのものだ。ゆえに共感し嘲笑するのであるが、お勤めにもいかずに最後まで生き残るのは金子信雄*5であることだけは覚えておくべきだろう。

*1:瀬戸嫁の原作もパロディーにしている。

*2:例=縄張り争い

*3:例=杯のやり取り

*4:これは個人的な感想であり第三者から見ればやはりギャグでしかない

*5:「じゃがのう」の叔父貴